コラム
産業医

会社に合った産業医を紹介してもらう方法を解説

50人以上の従業員規模の事業場では、産業医を選任しなければなりません。しかし、いざ探そうとするとどうやって産業医を紹介してもらえばいいのか分からないという声を聞きます。産業医を紹介してもらう方法は、健診機関や医師会とのつながりを活用するほか、産業医紹介サービスを利用する方法があります。

ここでは、産業医の探し方を解説するとともに、産業医紹介サービスを利用する上でのメリットとポイントをご紹介します。

産業医を紹介してもらう方法

法律に基づき産業医を選任する必要があるものの、自社に合った産業医がどんな医師か分からない……。産業医選びに迷ったときの選び方として、健康診断を実施している機関や地域のつながりから紹介してもらう方法、また、産業医紹介サービスという専門会社を利用する方法などが挙げられます。ここでは産業医を紹介してもらう方法と、それぞれの利点と注意するべき点を詳しく紹介します。

健康診断を依頼している健診機関に相談する

企業向けに健康診断を実施している健診機関で、所属している産業医を企業に紹介するサービスを行っている場合があります。普段から接点のある健診機関であれば、気軽に相談できるというメリットがあるでしょう。

企業には、健康診断の実施と異常所見があると診断された従業員に対する医師への意見聴取が義務付けられており、産業医には職務として健康診断の実施とその結果に基づく措置が義務付けられています。

こうした点から、健診を依頼している機関で産業医を紹介してもらうと、健康診断の事後措置や毎年の健康診断の手配などについて、産業医や健診機関との連携が可能となり、人事労務担当者の業務負担を低減できます。 ただ、健康診断が集中しやすい年度初めには、産業医の紹介がスムーズに行われなかったり、産業医面談の予定が立てにくくなったりする可能性があります。繁忙期には、時間にゆとりを持って相談・依頼をするとよいでしょう。

近隣の病院や診療所などに相談する

近隣の病院や診療所に産業医を依頼できないか相談するのも、産業医を探す方法の一つです。病院では、院長や医師が近隣の企業の「嘱託産業医」を行っているケースがあります。

産業医を近隣の病院や診療所などに依頼するメリットは、地域に根差した医師と連携できる点にあります。

例えば、長時間労働面談なども産業医が近隣のクリニックの開業医等であれば、産業医訪問の日以外でも、クリニックの休憩時間に面談をお願いする事も出来るかもしれません。

また、地域の診療所などではインフルエンザのワクチン接種などを実施しているケースも少なくありません。企業がワクチン接種を推進する場合に、近くのクリニックでワクチン接種が出来るというのは一つのメリットになるでしょう。 ただ、直接契約となる場合が多いため、産業医を変更する際には一から探す必要がありますし、契約書類作成なども自社で対応する必要があります。

地域の医師会に相談する

地域の医師会が産業医の紹介を行っているのであれば、より広い選択肢の中から地域に根差した産業医を探すことができます。

地域の医師会に相談した場合、紹介される産業医は、その地域を拠点に勤務している医師が多いため、各地域に事業場がある場合は、各地域の医師会にそれぞれ相談することになるでしょう。

注意点は、産業医の紹介を行っていない医師会もあるという点です。報酬なども地域によって異なる場合があるため、個別に問い合わせる必要があります。

産業医紹介サービスに紹介してもらう

多くの産業医の中から自社に合う産業医を検討したい、各地域に支社があり、それぞれの事業場において職場巡視などの訪問に対応してくれる産業医を探さなければならないなどといったケースで有効なのが、産業医紹介サービスを利用することです。産業医紹介サービスとは独自にネットワークを持ち、企業に対する産業医の紹介を事業として行っている会社をいいます。健診機関が実施していることもあれば、産業医紹介サービスを専門に全国展開している会社もあります。

産業医紹介サービスを利用する利点は、豊富なプランから自社に適したものを選べる点です。従業員規模やニーズに合わせてプランを選択できるでしょう。また、保健指導やストレスチェックに関連するさまざまなサービスを実施しているところもあり、そうしたサービスを活用することでより自社の労働安全衛生の体制を強化することもできます。

産業医紹介サービスは数が多いため、提供会社が得意とする業界や業種、プラン、サービスなど、事前に複数の会社を比較した上で検討するといいでしょう。

人脈を活用し知り合いに紹介してもらう

業界内のつながりや仕事のつながりを通じて、産業医を紹介してもらうのも一つの方法です。例えば、会社が依頼している社会保険労務士の知り合いで産業医をしている人がいるというように、士業同士の関係性から自社に合った産業医と接点を持てるかもしれません。

信頼できる人脈からの紹介であれば、良い産業医と巡り合える可能性も高くなります。一方、万が一産業医を変更したり、紹介してもらったものの合わないため断ったりといったケースでは、そもそもの人脈に影響があるかもしれません。誰に相談を持ちかけるべきか、慎重に検討する必要があるでしょう。

従業員数50人未満の事業場は「地域産業保健センター」に相談できる

従業員数50人未満の事業場では、産業医を選任する法律的な義務はありません。しかし、従業員の健康を維持し促進するという観点から、産業医との取り組みを行うことが望ましいとされています。

産業医を選任するまでではないが、従業員の健康診断の結果を相談したい、メンタルヘルス対策のための取組みを充実させたいという場合には、地域産業保健センターに相談することができます。

地域産業保健センターは地域窓口とも呼ばれ、従業員数50人未満の企業に以下のサービスを無料で提供しています。

  • 長時間労働者への医師による面接指導の相談
  • 健康相談窓口の開設
  • 個別訪問による産業保健指導の実施
  • 産業保健情報の提供

地域産業保健センターは全国にあり、東京には18カ所設置されています。ただ、地域によっては新規対応を休止しているケースもあるようです。まずは、そもそも対応が可能なのかも含めて相談してみるといいでしょう。
(参考)
独立行政法人労働者健康安全機構「地域窓口(地域産業保健センター)」

独立行政法人労働者健康安全機構 東京産業保健総合支援センター「東京産業保健総合支援センター地域窓口一覧」(参照 2022-11-22)

迷ったら産業医紹介サービスの利用がおすすめ

男女の医者・産業医

産業医を探す方法に迷った場合は、まず産業医紹介サービスに相談してみるのがいいでしょう。事業として情報を提供しているため、検討段階から相談に乗ってくれます。自社の状況や要望を伝えることで、より適した産業医に辿りつけるでしょう。以下に、産業医紹介サービスを利用するメリットを詳しくご紹介します。

自社にマッチした産業医を選べる

産業医紹介サービスでは、それぞれ独自のネットワークで産業医とつながっており、多くの産業医が在籍しています。自社の特徴や希望に合った産業医が見つかる確率が高く、効率的に自社に適した産業医を選ぶことができます。

複数の事業場がある場合もまとめて任せられる

各地域に複数の事業場がある場合などには、それぞれの地域で職務を担ってくれる産業医を選任しなければならない場面が多くありますが、全国で事業を展開している産業医紹介サービスであれば、産業医探しを一括で任せることができます。

各地域の産業医を自社で探す手間がなくなり、業務の省力化につながります。地方から都市部までを網羅しているかどうか、また、必要な地域で活動している産業医がいるかどうか、あらかじめ相談してみるとよいでしょう。

選任後もサポートが充実している

産業医紹介サービスの中には、ストレスチェック実施の際のサポートなど、産業医を紹介するだけでなく、産業保健業務にまつわるさまざまなサービスの提供を行っているところがあります。自社の安全衛生管理体制を充実させたいなどと思ったときに、すぐに相談でき、必要なサポートを受けられるのも特徴です。

また、万が一選任した産業医が何らかの理由で継続困難となった場合でも、産業医紹介サービスであれば、引き続き後任の産業医を相談したり、探してもらったりすることができます。

産業医とのトラブルに備えられる

産業医の業務は多岐に渡るため、何か相談があっても返信に時間がかかるケースがあるかもしれません。産業医紹介サービスでは、保健師や看護師といった医療スタッフ、衛生管理者資格を持った担当者などが連携を取って産業医と企業の間に入り、対応してくれる場合があります。また何か産業医とのトラブルが発生した場合でも調整を任せられる点も、安心してサービスを利用できる理由の一つです。

産業医紹介サービスを選ぶポイント

産業医紹介サービスを選ぶには、客観的に比較することが大切です。プランの内容はもちろん、得意とする領域やその他のサービスについて調べてみましょう。以下に、産業医紹介サービスを検討する際のポイントを解説します。

自社に合った産業医を紹介してもらえるか

自社に合った産業医とは、自社の課題に対応できる産業医のことを指します。例えば事業場が工場であれば現場の労働安全衛生が課題となります。常時使用する労働者が50人以上の事業場となる製造業では安全衛生委員会を設置する必要があり、産業医は衛生委員会の委員となります。労働災害の防止や衛生教育実施計画に明るい産業医であれば、事業の安全面と持続可能性を強化する上で心強い存在となるでしょう。

自社の課題と自社が求める産業医の資質などが明確になっていると、自社に合った産業医を紹介してもらえるかどうかの判断基準が定まり、産業医紹介サービスを比較検討する際に役立ちます。
(参考:厚生労働省「安全衛生委員会を設置しましょう」

★自社に合った産業医を紹介してもらうコツ

産業医を探し始めるきっかけは、「従業員数が50人を超えたから」という法律の義務を果たすためという企業がほとんどでしょう。しかし、社内の現状に目を向けてみれば、「長時間労働を減らしたい」「在宅勤務社員のメンタル面の不調を予防したい」など、さまざまな課題が見つかるはずです。産業医を選任する目的を明確にすることで、より自社に適した産業医を探すことができます。

目的と同時に、依頼したい内容、そして予算を整理した上で、産業医紹介サービスに相談してみましょう。検討段階で事業内容や課題についてヒアリングしてくれる場合には、希望に合った産業医とマッチングする確率も高まります。

産業医紹介以外のサービスが充実しているか

従業員数が50人を超えた企業では、ストレスチェックの実施や衛生委員会の定期開催も義務となります。先述したように、産業医紹介サービスの中には、ストレスチェックの実施やメンタルヘルス研修など、産業医の紹介以外のサービスも提供しているところがあります。そうした産業医紹介サービスを選ぶと、例えばストレスチェックを行う際に、負担のかかる作業を自社で行わずに済んだり、ストレスチェックサービスを提供している外部委託機関を別口で探す必要がなくなったりするため、管理部門の社員の業務の効率化も図れます。

産業保健分野で用いる、衛生委員会の資料といったフォーマットを無料提供している産業医紹介サービスもあります。産業医紹介以外の部分で、気になるサービスがあるか確認してみるといいでしょう。

希望のエリアで産業医を紹介してもらえるか

産業医紹介サービスに相談する前に注意したいのが、希望するエリアの産業医の登録があるかどうかです。事業場の所在地によっては、産業医の紹介を行っていない可能性もあります。問い合わせをする段階で、どの地域の産業医を希望するのか、明確にしておきましょう。とくに本社所在地以外に、支社や支店といった事業場でも選任を検討している場合は注意が必要です。幅広い地域で事業を展開している産業医紹介サービスを選べば、複数拠点でもワンストップで依頼でき、業務を効率化できます。

見積りを比較すること

条件や自社の要望に合った産業医紹介サービスをある程度絞り込めたら、見積もりを取ります。見積りは、できれば複数の紹介サービスから取ると、それぞれの違いが明確になり比較の参考になります。

比較する際に重要なのは、条件や要望について自社の優先順位が決まっていることです。予算、巡視の頻度、サービス内容、得意とする領域など、自社にとって優先順位の高い内容から検討することで、単純に金額の良し悪しではなく自社に適した産業医を見つけられるでしょう。

まとめ

女性社員

産業医を探すにあたっては、つながりのある健診機関や地域の病院やクリニックに相談するのもいいですが、自社の課題に合った産業医を、より広い選択肢の中から選任したいということであれば、産業医紹介サービスを活用するのがいいでしょう。支社や支店があり、複数地域に事業場がわたる場合でも産業医紹介サービスであればワンストップで条件に合う産業医を探すことができます。

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株式会社メディカルトラストは、1,000事業所以上の産業医選任・50名以下の小規模事業場の支援を含めると2,000以上の事業場に選ばれ、業歴20年以上の経験と実績で、幅広く産業保健のサポートをしています。

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<株式会社メディカルトラスト編集部>
2001年から産業医、産業保健に特化して事業を展開。官公庁、上場企業など1,000事業場を超える産業医選任実績があります。また、主に全国医師面談サービスの対象となる、50名未満の小規模事業場を含めると2,000事業場以上の産業保健業務を支援。産業医は勿論、保健師、看護師、社会保険労務士、衛生管理者など有資格者多数在籍。

   
       

         
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