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流行を繰り返す新型コロナウイルス感染症。2022年夏の第7波では、第6波までとは比べ物にならないほどの勢いで感染者数が急増していますが、まん延防止等重点措置も緊急事態宣言も発令されず、行動制限も特に求められていません(2022年8月10日現在)。
これは、ウイルスの特徴が明らかになってきたこと、ワクチンや治療薬の開発が進んだこと、基本的な感染予防対策が人々の間に定着したことなどが影響していると考えられます。
そして経済界もまた、新型コロナとの共存に向けて大きな転換期を迎えています。
事実、経団連では「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(オフィス版・製造事業場版)」を改訂し、将来的にはガイドラインを廃止して各企業がより自律的に対応することも視野に入れているとしています。
そこで今回は、感染防止と社会経済活動の両立のために取り組むべきこと、特にマスクを外せる環境づくりについて解説します。
マスクの着用は、感染拡大を防ぐために欠かせないものです。そして、マスクの着用と感染リスクの関係を考える際に、重要なのは以下の3つのポイントです。
これらを踏まえた上で、厚生労働省ではマスクの着用が推奨される場合・マスクの着用が必要ない場合を以下のようにまとめています。
この厚生労働省の考え方をもとに、次の項では事業所内でマスクを外せる環境づくりについて考えてみましょう。
事業所内でマスクを外すためには、「身体的距離の確保」「換気の徹底」「対面での会話を極力減らすこと」が重要です。
他者との距離が2mに満たない屋内では、感染防止のためにマスクの着用が推奨されています。これは、会話や発声の有無に関係ありません。逆にいえば、事業所内でマスクを外すためには、まず身体的距離を確保する必要があります。
厚生労働省の考え方では、身体的距離が確保されており、かつ十分な換気など感染防止対策が講じられている場合は、会話がある場合でもマスクを外して良いとされています。
この点、オフィスや店舗が入っている建物では建築基準法で定められた換気設備が設置されているため、基本的に室内の換気はしっかりできているはずです。ただし、室内が密になっている場合や、長時間・大人数で会議室を利用する場合などは、窓やドアなどを空けて積極的に換気する必要があります。
窓やドアを開けて換気する場合は、空気の通り道を確保した上で1時間に10分程度、あるいは1時間に5分程度の換気を2回くらい行い、空気を入れ替えましょう。このとき、部屋の対角線上にある窓やドアを開放すると、空気の流れが良くなります。窓がない場合、あるいは窓が開けられない場合は、排気口の位置を確認した上で扇風機やサーキュレーターで空気の流れを確保してください。
事業所内でマスクを外すためには、会話もできるだけ減らさなければなりません。ただ、業務時間内にまったく会話しないのは困難な場合もあるでしょう。そこで、ちょっとした会話ならばチャットソフトなどを利用することを提案します。急ぎの要件でなければ、メールでもよいでしょう。
もっとも、対面での会話が減ると細かなニュアンスが伝わりづらくなり、気持ちを汲み取ることも難しくなります。そのため、直接会話してコミュニケーションをとる機会も定期的に設けるべきです。
このように、マスクを外すことにこだわりすぎるのではなく、非対面と対面のコミュニケーションを上手に使い分けることがwithコロナの時代には必要といえます。
上記のように、環境を整えれば事業所内でもマスクを外すことは可能です。ただし、「マスクを外せる」と「新型コロナウイルスへの対策が不要であること」はイコールではありません。
新型コロナウイルスと共存するためには、身体的距離の確保・マスクの着用・手洗いなどのいわゆる「新しい生活様式」*5を実践して自分自身の感染を予防すると同時に、重症化リスクの高い人・感染リスクの高い人たちを新型コロナウイルスから守っていかなければなりません。そのためには、事業所内でマスクを外せる環境が整っていても、咳などが出る場合はマスクをしなければなりませんし、手指の洗浄・消毒はしっかり行う必要があります。
感染防止と社会経済活動の両立のために、基本的な感染防止対策は継続しつつ、よりストレスの少ない労働環境づくりを目指しましょう。
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〈中西 真理〉
公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。